【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第45章 ベルモットと
助手席へと移動して、零が運転する。
自宅とは真逆の方に向かった車に、行き先を尋ねることは…雰囲気的に後にすることにした。
「……ステア、意味知らなかっただろ」
「え?あ、…ベルモットさんが、バーボンにって」
言われるがまま。
「俺に抱かれたって報告しとけよ」
「なんで?」
「ステアはセックスの隠語で使ってることがあるんだよ、ベルモットが」
「…なにそれ」
めんどくさ、と言えば零が笑っていて。
…柔らかな雰囲気に、触れたくなる。
「……怒ってないの?私が、…関わった事」
「俺に怒る権利、与えるつもりないだろ?」
…その通りだった。
「それに、…今日の格好は誰に抱かれたんだ?」
…張り付いた笑顔が、怖い。
「…ベルモットさん」
「は?」
「………あの人、女もイけるんだね」
「…何された」
「別に……」
零の声で好きだって言われて、キスして、イっただけ。
「大したことは何も」
窓の外へ視線を向ける。見慣れない景色は続いていて。
…本当にどこに行くんだろう。
「……ベルモットさん、多分…今日は私を懐かせようとしただけだよ」
懐かれて手懐けて使いやすいように。
「バーボンを誘うようにしたのも……多分、私が零とシたか………」
シたかっただけだし、と言いかけて。
暫くの沈黙。
「……零は、こういう格好嫌いですか」
「それを聞いて、どうされますか?」
「…私は、こういう格好したことなかったから…正直、嬉しかった」
「………重ねて言いますが、僕のものではない貴女が着飾るのは好きではありません」
…いつ、そんなこと言ったと思った。
「だから、その格好は好きではありません」
「………その前提を無くしたら?」
「綺麗、ですよ。魅力的なほどに」
…可愛い、と言われることは好きだった。
好きな人にそんなこと言われて嬉しくないわけない。
でも、…零に綺麗と言われたのは…片手未満のはずで。
「………あまり…気を持たせるような態度はされない方が良いですよ」
新しい男に悪いだろ、と言われて。
…いや、いないしとは言えなかった。
零は…
沖矢さんが原因で別れたって…裏切ったって…
そんなくだらないことで貴方を傷つけるわけないのに。
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