【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第43章 痕※裏
「…良かった、…連絡する手間が省けました。今の話聞かれてました?」
「肉体的な協力なら、断って構いません」
そうじゃないなら、と言葉の後を受け取った。
「…ところで今夜。お暇ですか」
「ん?…あ、はい。ただ…買い物後でも良いですか?」
「勿論」
付き合いますよ、と言われて。
「ところで彼はこういう下着好きそうですね」
「彼って誰のことを指しているのかは分かりかねますが、その彼の趣味なら関係ありません」
…と言いつつ、零が嫌いではない趣味の下着を買っているあたりバカなんだろうな。
もう抱かれることはないのに。
「買い物は以上で?」
「ええ、下着買い変えたかったので」
零に愛されたときに着ていたことなんて、思い出したくもないから。
沖矢さんの車に乗って家に向かう。
…慣れたなぁ、とぼんやり思う。
「…沖矢さんは、私の何があって、傍にいさせてくれるんですか」
「貴女が、可愛らしいからですね」
「マスコット扱い」
本当に答えてくれない。
…わかりきっていた。でも、それが心地よい。
真意が見えない関係は、いっそ心地よいのだとこの人から教えてもらった。
車が停まってキスをする。
…零のことを忘れさせようとするわけじゃないけれど。
ごほんごほんっ、とわざとらしい咳が外から聞こえた。
唇を離して窓の外を見ると、コナンくんの姿。
「…昴さん、○○さん、せめて家の中でして」
確かに、と笑ってしまった。
「沖矢さん、コナンくん呼んだから私を?」
「ええ、そういうことです」
キスを見られるのは予定外でしたが、と言いながら笑う横顔は、絶対わざとだろって心から思った。
「安室さんと別れたんだって?」
沖矢さんがキッチンに立ちお茶を用意する中、私とコナンくんがソファーで待つ。
「別れたよ」
「…意外だった。今は昴さんと?」
「まさか。沖矢さんは友人」
キスしていたのに、という目で。
「大人だから」
くす、とからかうように言えば顔真っ赤にさせていくのが可愛らしい。
…私にだって、わからない。
沖矢さんへの気持ちの正体。
それでも今は、一人になりたくない。
それでも今は、赤井秀一のことを知っている沖矢さんのそばにいたほうが…私には利益だと判断したんだ。
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