【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第41章 貴方じゃないのに。※裏
口づけをしながら、髪を撫でられて…抱けばいいのに、なんて口づけに溺れそうになる。
零とは違う。
…当たり前だけど、それを意識できることが安心できて。
「…さて、どうしますか」
「言わせるんですか」
「結局貴女に呼び出された理由が不透明のままですし」
「お互いさまじゃないですか」
抱きしめる力は緩めず…軽口を交わして。
「彼氏さんへ連絡は?」
「…彼女はただいま閉店中」
「彼女という役割はお仕事なんですね」
「冗談に決まってるじゃないですか」
貴方の家に行きたい、と言えば小さく微笑まれて頷かれた。
沖矢さんに支えられるように車に向かう。
階段を上るとすぐ車が停めてあって。
「駐車違反」
「違反切られていたら貴女に請求しますね」
「…うわ」
笑ってしまって。
「話したくないなら、話さなくて大丈夫ですから」
私が貴方に頼った理由。
「…あとで、聞いてほしいです」
「ええ、お酒でも飲みながら」
赤いSUBARU。
派手だなぁ、と改めて見て思って助手席に乗り込む。
「そういえば、先日彼氏さんと一緒のところ見かけましたよ」
「…ああ、コナンくんとの?」
「はい」
家の前だったもんね、と思い出して。
「声かけてくれてもよかったんですけど」
「嫉妬されるのは怖いのでやめておきましたよ」
「ちらっと見かけた気がしたの、間違いじゃなかったみたいでスッキリしました」
「気にかけていただいてたんですね」
「まぁ、友人ですから」
私の言う“友人”がとても便利な言葉に思えて鼻で笑ってしまった。
「彼氏さんへ、何かしら連絡は入れないんですか」
「…どうしてそんなに気に掛けるかなぁ」
「貴女が後悔して落ち込んでいる姿はあまり好きではないので」
…そんな言い方されたら…
仕方なく携帯を開く。
『ごめん、今日は帰れない』
零からのメールが一通。
先にあった着信はこのことを伝えるためだったのだろうか。
『返信遅くなってごめんね、了解です』
メールを返信して、携帯を閉じる。
…零に会いたい。でも、それ以上に会いたくない。
赤井秀一と零の熱が重なるのが、怖い。
私は零じゃないとだめなのに。
「○○さん」
着きましたよ、と声と共に近づく沖矢さんの顔。
唇が重なって…その首に腕を回した。
零じゃないとだめなのに、沖矢さんの熱は…私に安心を与える。
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