【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第41章 貴方じゃないのに。※裏
先輩に言われて買い出しに向かっていた。
その帰り道、目の前から向かってくる人の顔に足が止まった。
…一目見たときはどこかで見たことがある人、だった。
だけどその人は私が探し求めていた人そっくりだとすぐに認識して。
「赤井秀一…」
その名前を口の中で呟いた。
すれ違いざまのその腕を捕まえて
「すみません、少しお話を伺えませんか」
やっぱり、生きていたんだ。その気持ちでいっぱいだった。
「悪いが急いでるので」
顔に火傷の痕…
その人の目は私を見て驚いて…私の顔を知っているようで。
沖矢さんにでも聞いていたのだろうか。
「ここではない場所であれば、すぐに終わりますから…私は貴方に話を聞きたいのであって捕まえたいわけではありません」
組織も私には関係ない。
あの日の真実が、知りたいんだ。
これから先、この人があの日の真実が零を傷つける可能性があるのなら。
この人の口から聞けば、真実が知れると…なぜかそう思っていたんだ。
「“捕まえる気はない”?」
私のその言葉を繰り返されて。
「言う通りにできるなら、着いて来てみるか」
痛々しい火傷。
その傷を隠さないのは…どうしてなのだろうか。
身を隠すにしても、その火傷は目立つものなのに。
「一本だけ、連絡してもいいですか」
先輩に、知り合いに会ったので少しだけ遅くなるとメールを入れた。
…それが、全部の間違いだった。
廃墟ではないけれど、使われていない古いビル。階段を下りて地下にある部屋に案内された。かび臭い。…簡易電球がチカチカと光る。
寝泊りをしているようではないし、…私を警戒して普段使わない場所に連れてきた?机とテーブルに小型の冷蔵庫、コンセントがあるだけの部屋。
「それで?誰から俺の情報を」
「組織に知り合いがいまして…」
「“バーボン”か?」
「その名前は知りません」
怖い。なんでだろう、イラついているように見えるんだ。
「…話をして帰りたい、です」
「無事帰られると思っている君は、随分と無防備だな」
何を。
額に銃口を向けられて…
「死にたくないなら、服を脱いで両手を上げろ」
「盗聴器の心配してるなら…」
カチャ、と銃から音がして…
「分かりました」
…沖矢さんが話した赤井秀一は…
こんなことをする人間ではない。
警戒をしてるだけなのだと、言われた通りに服を脱いだ。
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