【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第41章 貴方じゃないのに。※裏
朝を迎えてトレーニングに行けるか?と優しく訊ねられて。
零に会えなくても続けていたその習慣は、私の生活の中に零がいる証拠のようなもので。
腰の痛みと体の怠さが、幸せだと感じてしまうくらいには…脳が馬鹿になっているようだった。
「今日、○○は探偵事務所だよな」
「うん、零はポアロ?」
「今日はそっちじゃない」
「そっか…残念」
じゃあどっち、とは聞きたくない。
教えてもらえないときにこの幸せな気持ちがなくなりそうなのが嫌だから。
「また夜に」
…それは、本庁で?それとも、ここで?
どちらでも良い。
零に会えるなら。
途中まで送る、とスーツ姿の零に、今日は本庁なのだと判断して、少しだけ気持ちが安心していることに笑ってしまう。
…仕事だから、零は何かあれば組織の命令で抱くことがあるとしたら。
それを私に教えてくれるのだろうか。
…ベルモットさん経由では絶対に聞きたくない。
少しだけ離れた場所で車を停めて、行ってらっしゃいと言えば行ってきますと返ってくる関係。
こんなに幸せでいいのか…
そんな思いで、彼の車を見送った。
事務所に着いて、USBに取り込んだヒロくんの死についての報告書を、読んだ。
階段を昇り現地に駆け付けた際に、彼は連絡手段である携帯電話ごと胸を打ち抜き死んでいた。
その報告書はFBIがヒロくんを追い詰めたように記載があった。
…零は、過剰なほどこの国に誇りを持っている。
「どうして、そんなにこの国のために動けるの」
無意識に呟いた言葉に、自分でも驚いた。
…愛国心、というのであれば私は少ないほうだと思う。
彼がFBIを敵視するのは愛国心あっての部分もあるわけで。
「…沖矢さんに会いたいなぁ」
話を聞いてもらいたい。
友達として?FBIに関わっている人として?
そんなの分からないけど。
零に見つかるわけにはいかない意見には同意だから…
私から彼に連絡することはない、
その時はそう思っていた。
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