【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第36章 幸せな
「先輩、お昼ポアロに行くんですけど一緒にいかがですか」
「そうだな、…蘭も昼用意してないって言ってたし」
先輩が渋々、と言うように立ち上がって一階に向かった。
ポアロに着けば、試験勉強なんだろうけど女子高生が多くて。
場違いかと思い、背を向けようとすれば先輩が他の店に行くのは面倒だと言って…無理やり店内に押し込まれた。
「…視線が、痛い」
「安室くんがモテるのは知ってたが……これほどまでか」
零は接客中で女子高生と話して、試験勉強をたまに教えていて。
そんな姿を横目で見ながら、たまに女子高生の牽制する視線とぶつかって肩身がせまい。
「毛利先生、○○。珍しいですね」
「おー、安室くん。○○が誘ってきてな」
「……お昼、今日用意してないからたまには…ってなったんだけど…」
試験期間だということくらい計算すればよかった。
「毛利さんも○○さんも、もっと来てくださって良いんですよ!」
梓さんが笑いながら言ってくるけど…
「梓さんはJK避けが私に向かうのが助かるって話ですよね」
「あれ、バレちゃいましたか」
彼女じゃないと言っても、ずっと一緒にいるのは片思いからするとやはり気持ちが良いものではないのはよくわかる。
…実際梓さんに嫉妬しそうになるし。
透さんが、零としての姿を見せてしまったら…私はきっと、嫉妬で狂う。
「○○、今日何が食べたいですか」
「ハムサンド」
「メニュー内からなんて珍しいですね」
いつもメニュー外のもの作ってもらってるのか、と先輩に驚かれたら…それがメニュー外なんて考えたこともなかったと頭を抱えたくなって。
「だって透さん、普通に出してくるんですよ?」
承りました、と笑顔で。
「○○の我儘なら、叶えたいじゃないですか」
「透さん!殺気が怖いから黙って!!」
後ろから向けられる嫉妬で今にも寿命が縮みそうで。
「……遊ばれてるな」
「それ、よく思ってます」
先輩が、らしくないと私を見て笑うけど。
「…彼の前で、余裕もって対応できたことなんて…一度もないですよ」
いつも。
ずっと。
そして、これからも。
「付き合いたてなのに、まるで昔からのようだな」
「毛利さん、それ私も思ってました!」
梓さんと先輩の話に、そんなわけないじゃないですかと誤魔化した。
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