【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第35章 そして日常へと※裏
晩御飯どうするかと、零が訊ねて。
ギターを置いて、少しだけ考えた。
「…特別美味しいやつ」
「了解」
零のベッドに寝転んだ。
…私が寝てる間になんだろうけど、シーツは新しくなっていた。
零の匂い。
…恥ずかしいくらい、抱かれたし、恥ずかしいくらい…がっついた。
零が欲しくてたまらなかった気持ちが落ち着いてる今はそれを思い出すのが恥ずかしい。
「○○、手伝わないと飯抜きだから」
「ふぇ!?やだ!」
慌てて起き上がってキッチンに向かえば、机の上に早速料理が並べられていて。
「嘘。もうできてる」
意地悪な笑顔で。
「○○が寝てる間に、起きたら食べられるようにしてたから」
「……零はホント、良い奥さんになるよ」
「僕が欲しいのも良い奥さんですけど?」
「零の奥さんって自信失いそう」
「では、立候補は無しですか」
「………立候補しても振られるからやだ」
少しの間の後、目をそらした。
「それに、私プロポーズはするよりされたい派なの」
べー、と舌を出したら笑われて。
「では、その時が楽しみですね」
「その相手がなんだかとても忙しいので困ってるんですけどね」
「奇遇ですね、僕も最近恋人に振り回されて通常の倍以上忙しかったです」
「あら…可哀想」
誰のせいですか、と軽く頭を叩かれて。
「ご飯食べますよ」
「はい」
いただきます、と手を合わせて食事をする。
零は箸の使い方がとても綺麗で。
零の料理が大好きで。
「零って、和食好きだよね」
「日本人だからな」
「和食って大変なんだよね、零の作り方だと特に」
「出汁からとって、の工程が?」
「そうそう」
零は出汁の素とか使わないし、使うときは隠し味程度。
…体に優しい味。
「ごちそうさま」
「もういいのか?」
「…寝る前にたくさん食べたから」
それもそうか、と零が白米を美味しそうに食べて。
…それを見てるのが幸せで。
「食べ終わったら、少し体動かしに行くか?」
「…着替えがない」
「適当にとってきた」
私が寝てる間に、と。
「………だから起きたらいなかったの?」
「目覚めていなかったら文句言われるのはわかってたけど、着替えがなくても文句言うだろ?」
…完璧すぎる彼氏に、頭が上がらなかった。
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