【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第35章 そして日常へと※裏
零の部屋。
…物色するのは良くないと、分かっているけど。
立てかけてあるギターに触れて、軽く音を出した。
「何してるんですか」
「びっ……くりしたぁ…っ」
「起きたら連絡くださいとメモ残して起きましたよね」
全く、と呆れたように。
「さっき起きたばかり」
「…それで?何か面白いものでも見つけましたか」
「ギター、…懐かしいなって…」
「あぁ…あいつに教わってましたね」
「…ふふ、…うん、そう」
外が暗いので音出しは、と言いながら…触って良いと言って。
「まだ弾けますか」
「…どうだろ?」
サイレントピックを渡されて、零が後ろから手を添える。
弱音器をブリッジに挟んで…
「Twinkle twinkle …♪」
コードを弾きながら、音は僅かにしか出ないからほぼ私の声で。
零の小さな歌声が、耳元で。
零たちが楽しそうにしてるのが羨ましくて、ヒロくんに教わった。
零に教わるのはいつだってどこか悔しかったから、最初に頼るのはヒロくんで。伊達さん、松田さん、萩原さん。
そして怒られるのもいつものことで。
結局私からヒロくんを取り上げて、零に教わる。
なんでもできるチートな男。
…でも、零は私にそれと同じことを教えてくれた。
料理だって、楽器だって、捜査力だって、運動だって。
いつだって、敵わなかったし。いつだって、追いかけてばかりだったけど。
「……○○、明日ポアロが終わったら本庁に向かう予定があります。…一緒に行きますよね」
それは…
「まずは事務処理から覚えてもらいます。…現場の方も、少しずつですが出てもらいます」
「…降谷さん」
「○苗字○○○の能力は、僕が一番理解してますから」
貴方の役に、立てるということ。
「…それに、書類整理溜めてる男がいてな」
「風見さん?」
「どっかの誰かさんのせいでな」
あ、私か。
零の満面の笑顔は、昔から怒ってる時によく見る。
「最近ずっと振り回されてたからな。…やっとあの女にも手を引かせた……あとは、しっかり働いてもらうだけだ」
「貴方の役に立てるなら、喜んで」
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