【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第34章 貴方がいないと※裏
「…○○、よく頑張った」
零が、褒めてくれて。
頭を撫でてキスをしてくれて。
優しくしてくれて。
「そんな泣きそうな顔するなよ」
「ちが、くて…っ」
嬉しくて、泣きそうになってるなんて言えなくて。
知らない男たちとヤったことなんて…正直、零がいなかったら…私はそれすらなんでもなかったかのように生活できるんじゃないだろうか。
だって、私は…
みんなが、零がいない世界で生きてきた時間は…
他人に興味が無くて、誰とも関わりたく無くて、それでも誰かのそばにいさせて欲しくて。
興味がないフリが得意だった。
関わらないことが得意だった。
零のことを思い出す時間も忘れる時間も、嫌いだった。
零が抱きしめて、子供を慰めるように頭を撫でてきて。
愛されてるって伝わる。
本当に、私の世界はこれで良いとすら思う。
「○○…抱きたい」
零の声が、耳に触れて。
甘く低く脳に響く。
まだ、抱きたいと思ってくれるんだって。
「っ…おい…」
ごめんなさい、と俯いて涙が止まらなくなった。
これから先…私は零を裏切らない自信がない。
私がその方が、零のためになると考えたら…きっと裏切る。
今日だって、零は望んでいなかった。
ギリギリまで…私を連れ去ろうとしてくれた。
「ごめんなさい、零…っ」
赤井さんのこと、もう調べたくないと思ってしまって。
沖矢さんから聞いた話は貴方には聞かせたくない。
「ごめんなさい…っ」
それでも傍にいたいと、願ってしまって…
「ごめ…ンぅ…」
口付けられた。
…食べられるかと、思うくらい深く。
舌が絡んで吸われて…甘く噛まれて。
「…泣きたくなるようなこと、全部忘れさせてやるから」
違うんだって。
そんなことしたら…零のこと忘れてしまう。
優しくされて嬉しくて、苦しくて。
「抱かせて欲しい」
目を合わせて…また、口付けて。
涙が、止まらなかった。
泣くなよ、と困った顔をされて。
首を振ってごめんなさいと繰り返し。
どうしたら泣き止む?なんて、耳元で甘く困った声で囁かれるとなんだか…胸が苦しくてもっと涙が止まらなくなって。
子供のように泣く私に、零は困り顔を向けて体を離し、車を運転した。
困らせたくなんてないのに、涙は止まらなくて。
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