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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第34章 貴方がいないと※裏


エレベーター内で二人きり。
遅くなってごめん、と零は言った。
何をしたの、と訊いてもはぐらかされてキスをされ、忘れかけていた通信中のバッジの存在を思い出す。

「…透さん、…お手洗い行きたい」
「…わかった」

酷い格好なのはわかっていたけれど。
部屋に戻るのも嫌だし、時間的に人がいないこともあり、零はすんなりと共有スペースへ入ることを受け入れてくれた。
待ってるから、と言ってお手洗いの個室に入り、バッジを口元に寄せて小声で話しかける。

「沖矢さん」
『………はい』

少しの間からすぐに声が近づいて。

『すみません、少しだけ席外していたもので』
「…本当にずっと聞いてたんですか」
『貴女に何かあっては困りますからね』
「…悪趣味」
『ああ、さすがに彼氏さんとの行為中は音を下げましたが』
「げほっ…げほっ」
『バレてないと思ったんですか』
「…○○?大丈夫ですか」
「ごめっ、大丈夫」

どうしてバレたって思った…
ベルモットさんにも気づかれてないようだったのに。
それこそ、抱き合ったからこそわかることなのかと思えばそれ以上の言葉は飲み込んだ。

『上出来でしたよ』
「…ありがとうございます」
『少しばかり、距離を置きましょうか。今度はこちらから連絡をいれます』
「どうして」
『まだ、彼にはバレるわけにはいかないので』
「…了解」

あとは楽しんで、と言われて通信が切れた。

「大丈夫ですか?」
「大丈夫、すぐ出るから」

気が抜けた、んだと思う。
バッジをカバンに入れて立ち上がった途端腰が抜けた。
バタン、と大袈裟な音が響いて零が駆け込んできた。

「おいっ…大丈夫か!」
「…あー、もう…すぐ開けるから待って」

今にも叩き壊しそうな声がしてこっちが冷静になる。
鍵だけ開ければ荷物を抱えるかのように肩に担がれて。

「ちょっ、この体勢きつ…!」
「この方が早い」

私は荷物じゃない、と言っても聞き入れてもらえず。
ジャケットと零の服で頭から隠されて…駐車場まで運ばれた。

今すぐにでも離れたいと零が車を走らせて…

人目のつかない薄暗いトンネルで、一度車を停めて…抱きしめてきた。



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