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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第33章 “道具”※裏


最後まで意識は失わなかった。
…これも、零に乱暴に抱かれた時のおかげかななんてぼんやり思う。
男たちを見送って、君の欲しいものは彼女に渡しておくよ、と。
…あぁ、私じゃなくてその人が欲しいものなんだけどなんて。
ありがとうございますと笑ってキスをした。


「お疲れ様」

ベルモットさんが満足気に、部屋に入ってきた。

「最高に楽しませてもらえたわ。おかげで欲しいものも手に入ったし」

ご褒美、と…渡されたのはお金。
…札束。

「いりません…別に、お金のためにやってるわけじゃありませんし」
「…なら、何のため?」
「“バーボン”の道具になるためにです」

面白い子ね、と。

「私の武器になる気はない?」
「…貴女の?」
「磨いたら貴女はもっと綺麗になるわ……男を魅了する女に」
「“バーボン”が、私をいらないと言ったら…」
「言わないわよ。…さきほど念を押ししてきたわ」
「…なにを?」
「秘密。おかげでこれ以上、私からは貴女に手を出せないわ…貴女が私を頼るのは別」
「…私は、彼の道具です」
「道具より武器のほうが、価値があると思わない?」

それに、と。

「『僕に抱かれたいならいつでも思い出させてあげますよ』」

零の声に、体の力が抜けそうだった。

「っ…なんなんですか…っ」

零と同じキスの仕方を知っていて、挙句…こんな卑怯な誘い方。

「ベルモット」
「あら、…早かったわね。それとも近くで待機でもしていたのかしら?」
「たまたまですよ。○○、こっちに」

服が破られているのだと分かれば、零が自分のジャケットを羽織らせて。

「僕は、自分のモノを共有するのはあまり好きではありませんから」
「潔癖症だったのね」
「ええ、潔癖ですよ」

お互いに…大切な存在がいたことを、私は知らなくて。
蘭さんが零とベルモットさんの間の交渉道具とされていたことを、知る由は…私にはなかった。




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