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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第32章 僅かでも優しい時間を※裏夢


服を整えた沖矢さんにそれ以上シないのか訊ねていて。

「ええ。…それとも、不満ですか?」
「いや…その………不満じゃ、ないけど不安です」
「…明日は、ピンバッチ。必ず着けていてください」

手を握られて…見つめ合ってキスをする。

「……キスを、嫌がっていたのも懐かしいですね」
「沖矢さんのキスが…気持ちいいのが悪い」

沖矢さんの胸元に頭を預けて…心臓の音に安心する。

「今日は…そろそろ帰ります」
「ええ……明日、気をつけて」

それでは、と後にして。
…明日がこのまま来なければ良いのにな、なんて子供のようなことを思ってみる。
思ったより帰りが早かったなんて思ったけれど家に帰り着いたのは21時過ぎ。
…玄関で仁王立ちしている存在に気づいたのは、扉をあけてからだった。



「心配するの分かってますよね?」
「仰る通りです」
「GPSと盗聴器常に付けますか?」
「申し訳ございません」

夕方頃にポアロ前を通る姿を見かけて、家にいるだろうとそのまま来てくれていたらしくて。
スーパーの手荷物をみて玄関入ってすぐ正座。
リビングにすら入れてないけれど、ここ私の家だよね?なんて確認したくなる。
…でも、こういうとこ昔から変わってなくて下を向きながら笑いそうになるのを堪える。
お前ら正座、と…何か悪戯仕掛けられたり冗談言われたりすると…そんな楽しいことを思い出して、なんだか幸せで。
明日のことがあるのに、…どうしてなんだろう。
家に帰ってきて、待っていてくれたことが…幸せなんだなって。

「なに笑ってんだ」
「え?バレた…?」

頬が緩むのが隠しきれなくて。
零は本気で怒ってるのに、それがなんだか怖くなくて。

「愛されてるなぁって思ったとこ」
「正座二時間延長するか」
「零がそばにいてくれるならそれくらい余裕」
「………なんなんだよ、今日はもう」

諦めたのか、目線を合わせるようにしゃがんで…

「生意気」

拗ねたような表情の零に軽いキスをされて、嬉しくて抱きついた。

「心配させてごめんなさい」
「どこに行ってた?」
「…もしかして探してくれたの?」
「誰かさんが電話に出ないからな」

…慌てて携帯を開けば、零からの着信ばかりで。
流石に悪いことしたなと笑えば零に本気のデコピンをされたので、冷えピタで冷やした。



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