【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第32章 僅かでも優しい時間を※裏夢
落ち込んでるだろう、悩んでるだろう、そう思って零は側にいようとしてくれて。
それなのに私は笑ってるし、それが無理してではないから尚更…不思議だったんだろうなって。
私が大好きなおかずばかりの夜ご飯。
「いっそ太ったらハニートラップなんてできなくなるのにな」
冗談なのか本気なのかわからない表情で、美味しい美味しいと食べる私をみて。
「そんなの零に抱いて貰えなくなるから嫌です」
「?どうして」
「どうしてって…零も嫌でしょ?お相撲さんみたいな彼女」
「はは、きっと可愛いのに」
…本気なのか冗談なのか。本当に、わからなくて。
「照れたな」
「照れてません」
まんまる○○ってクスクス笑いながら言うから、馬鹿じゃないのって言えば幸せそうにキスをされて。
「○○バカだから」
「………それ、言ってて恥ずかしくならないんですか」
明日が、なんでもなかったら。明日に、そんなことがなかったら。
私たちは後ろめたさもなく今日のこの雰囲気に浸ることもできるのに。
それで、と次に見たときの零の顔は…真面目な顔で、つい終わってしまったんだなって考えてしまった。
「ベルモットから連絡きた内容は?」
「…なーんで連絡きたって知ってるのかな」
「わざわざ連絡あったんだよ、明日壊してしまったらごめんなさいねって」
「………零、その話…しないとだめかな」
もう少しだけで良い、…零の甘い雰囲気に沈んでいたいのに。
「…もう遅い時間だろ」
○○が早く帰らなかったから、と零が言い返して。
…本気で反省した。
「…さっきまで全く反省してなかったのにな」
「そんなことない、けど…」
「仕事の話、できないなら来る回数減らすけど」
「なんて人だ…ッ!」
弱味が、自分だって分かってる人は、強い。
…分かりました、と深呼吸をしてキスをした。
それが私のスイッチみたいなもので。
「明日20時、東都ホテル…部屋番号までは教えられていません」
事務的な話し方を意識して。
「それで、今日はどこに」
「…御察しの“友人”のところですよ」
貴方が仕事なら
「そうですか、楽しかったですか」
私たちの会話は、薄っぺらくなる。
「そうですね、楽しかったです」
それなら良かったですね、なんて。
突然お互いに…厚い厚い壁ができる。
私は、この会話が苦手だ。
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