【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第24章 お友達
工藤新一くんの家は、改めて見ると豪邸だなぁとぼんやりと思った。
呼び鈴を鳴らせば、はい、と沖矢さんの声。
私ですと言えば開いているので入ってくださいと言われて、ご自宅にお邪魔した。
…男の人と二人きりなのに、どうしてかこの人には警戒心を緩めてしまう。
「お元気そうで」
「ご迷惑をおかけしました…それから、本当にありがとうございました」
「貴女が無事で何よりです」
朝から突然来たのに、いつもと変わらない対応。
考えてみれば迷惑だったな、と今更反省をして。
「…一人に、まだなりたくなかったのかもですね」
誰か安心できる人と、今はいたかったのかもしれない。
「それなら好きにいてくださって大丈夫ですよ。大学の方も休む予定だったので」
「どうかされました?」
「教授にも事情聴取が入って、少し大学が騒がしいので」
「そういうことですか」
「私も少し事情を聞かれましたが…たまたま好みの女性とお酒を飲みたかっただけだと言ってありますよ」
「誰が好みですか」
「貴女です」
まーた適当なことを、と肩を竦める。
「そう、だ。お詫びにですが…あのお店でかかったお金、お支払いしますよ」
「どうしてです?」
「いや、どうしてって…私に付き添ってもらっただけなので」
からかわれてはいたけれど、助けてもらった。
「だから言ってるじゃありませんか。たまたま好みの女性とお酒を飲みたかっただけですよ」
相変わらず読めない表情。
…今時の大学院生は、お金持ちなのだろうか。
「では…今度、お食事でもいかがです?」
「…高級レストランとかは、私性に合わないので支払いだけで」
「いえいえ、バーボンウイスキーの種類が揃ってるBARがありまして。よかったら」
「沖矢さんって、どうして私と一緒にいてくださるんですか」
「だから好みの女性だと」
あーもう、そういう適当なことじゃなくて、と頭を抱える。
…噛み合わない会話。
この人の本心はどこにあるのだろう。
「………そこのBARの会計、私持ちなら行きます」
せめてそれくらいは、を条件に言えば、喜んで。と微笑まれた。
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