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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第24章 お友達


朝ご飯、お昼ご飯、…一緒に食べた。
男の人と、零じゃない男の人と…こんなに楽しい時間を過ごすのは、なんだか…後ろめたい気持ちがあって。
零からの連絡は相変わらず無くて。
…少し、慣れて来た。
零は忙しい。

「物分り良い彼女を演じるのにも、慣れて来た顔ですね」
「…………なんで貴方はいつも見透かすんですか」

ため息。
深呼吸にも似たため息を吐いて。

「大好きなんですもん」
「………そうですか」

少しの間があって。

「…もう少しだけ愚痴を聞いてもらえますか」
「ええ。…お酒いりますか?」
「できれば」

喜んで、と笑う彼の背中をぼんやりと眺めて。
私がプレゼントしたお酒をテーブルに置かれて、私が注ぐ。

「…………大好きなんです」
「ええ、存じてます」
「…だから、私が…いなくなれば、彼はまたパーフェクトな安室透になれるんです」

降谷零になれるんです。

「それが分かってるのに、離れるのが嫌でしがみついてる」
「どうして、貴女がいるとダメになるんですか」
「………今回のことで、透さんに迷惑かけて」

詳しいことは、もちろん伏せながら。

「ポアロのことも大事にしている透さんの邪魔をしてしまったんです」

私が、あの時パニックを起こしたから。
零はポアロよりも、…公安としての立場よりも、私を優先してくれて、あの場所に行ってくれた。
それには深く感謝してる。

「透さんの仕事の邪魔だけは……したくなかったなって」

そうですか、と頭を撫でてくる手はとても優しくて。

「…忘れてないですよ、…沖矢さんがコナンくんにキスしそうになった私を押さえてくれたことも、……堪えられない私に何度も触ってくれたことも」

その手を、覚えていた。
…泣きそうになる気持ちは、アルコールで流した。

「気持ちよかった、…そう思ってしまう私が一番…情けなくて汚い」
「あのような状況でしたから、気持ち良いと思ってしまうのも仕方ありませんよ」

その言葉に少しだけ救われる気持ちになって。

「…沖矢さんに話してると気持ちが軽くなります」
「よかったです」

美味しいお酒に、気心の知れる人。

「私、沖矢さんとお友達になりたいです」
「私とですか?」

少しだけ驚いた顔をして。
…少しの間と、少しだけ心地よい無言。

「喜んで」

その人の微笑みは、私を幸せにした。



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