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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第21章 ごめんなさい



体が震える。
…怖くてじゃない。
欲しくて。

零、零…零。
この熱を抑えたくてソファの布にしがみついた。

こんな状況でも私は…
沖矢昴という人間を怖いと感じていないんだ。

「ハニートラップ、というのはこういうことですよ」

背中から熱が…気配が遠ざかる。

「………え?」

何を言われたのか分からず、体を起こした。

「抱かれたい、欲しい、もっとシたい、そう思いませんでしたか?」
「………少しだけ」
「ハニートラップ。今ここで貴女を抱けば、それが弱みになりますからね……あ、安心してください。抱きませんから」

…それを、思い知らせるために?
中途半端に上げられた体の熱…
乱れた服装。

「ほんっと沖矢さん…最低…」

ソファに顔を埋めて情けなくなる。

「向いていないことを自覚しないと、他の手段考えなさそうだなと思いましたので」
「……濡れたのがめっちゃ悔しい」
「では最後までシますか?」
「絶対シない」

軽口になって、部屋の空気が軽くなる。
その服装は目の毒なのでとパーカーを貸してくれて。

氷が少し溶けたウイスキーを飲み干して、ため息をついた。

「…沖矢さんなら、どうしますか」
「教授が関わってるようですので、よかったら明日大学に来ますか」
「我が家に誘うノリで言いましたね」
「…貴女とのおしゃべりは楽しいですし」

沖矢さんが、私のグラスにウイスキーを注ぐ。

「ボウヤと話す時間も、とれますよ」
「………わかりました、また明日。私もこの問題さっさと終わらせたいですし」
「まぁ、変わらず彼氏さんには僕といることがバレないよう善処ください」
「…それが一番厄介なんですってほんと…」

零に隠し事は嫌だけど。
この人のことを話してはいけない、と直感で。

「…もうこんな時間ですか」

携帯のアラームが鳴って我に返る。

「すみません!もう出ないと…!」
「こんな時間にですか?」
「報告義務があるんで」

やばい。
…シャワーを諦めたら家に着いてすぐ着替えれば間に合う。
昼過ぎに大学で、と約束をして家まで走った。
お店で飲んだお酒と、先程まで飲んだお酒で、少しばかり体が重い。



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