【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第20章 厄介な人
「君にはやっぱりこっちが良いかもしれない」
薄い青のレースドレス。
視線を避けるように背を向けて、渡されたドレスを着た。
スリットが大きく入っているけど、先ほどよりも露出が少しだけ減った気がする。
「名前…“ユウ”っていかがですか」
風見さんの下の名前から切り取った、ただの思いつき。
「良いよ、他に使ってる子いないから」
名刺の渡し方、お酒の注ぎ方、お触りの断り方、…なんだか零と少しデジャヴ感があって…色々思い出しそうになるのを堪えた。
「あとは慣れてもらうだけだから」
やるしかない、作り笑顔を貼り付けた。
「ユウちゃん、さっそくだけどお得意さんの新規のお客さんについて貰える?」
ユウちゃん、それが自分だということへの反応が少し遅れて…
「あ、はい。もちろんです」
案内されたテーブルに、教授、と呼ばれる人と…
「あら、貴女は」
「………はじめまして、ユウと申します」
こういう場所と縁が遠いと勝手に思っていた“沖矢昴”さんだった。
「はじめまして」
「お名前は?」
「昴、ですよ」
下の名前しか教えてこないのはなんでなのか。
張り付いた笑みで隣に座った。
「お酒飲まれますか?」
「お願いします」
ユウさんもどうぞ、とボトルで入っていたウイスキー…
話を聞けば、大学の教授のどうしてもの付き合いで今日は連れてこられたのだと。
「お話中失礼します。ユウさん、席外れます」
「あぁ、…もうそんな時間ですか。では彼女このまま指名で」
君が指名なんて珍しいな、と教授と呼ばれてるおじさんが嬉しそうで。
話が盛り上がったので、なんて適当なことを言う沖矢さんの服を引っ張る。
「っ…どういうつもりですか沖矢さん」
「盗聴器、隠されてるんじゃないですか?…相手先に聞こえますよ」
お互いがギリギリ聞き取れるほどの小声で。
「スリット、脚綺麗ですね」
「っ…ま、…ぁッ…」
スリットの隙間から…沖矢さんの手が入り内腿を指でなぞられた。
どこから見ても死角のせいで、沖矢さんの手首を掴んで小声でやめてくださいとしか言えなくて。
「…もっと上手くやらないと。ハニートラップなんて向いてないですよ貴女には」
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