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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第20章 厄介な人



「いらっしゃい、面接の子かな?」

お店を探していたときに、ボーイさんらしき男の人に声をかけられた。
案内されたのはきらびやかな店内の奥にある事務所。

「スタイル良いね。こういう仕事は初めて?」
「あ、はい…大学通ってて…」
「あー、大学生?大丈夫、大学生君以外にもたくさんいるから」

店長呼んでくるね、と…席を外す。
…面接の人間一人にするような事務所に、何か隠されてるとは思わないけどと視線だけで見渡す。

「へー、君か」

ストールを膝の上にたたみ、背筋を自然と伸ばし…
“色気のある女性”を意識する。

「大学生、…には勿体ないくらいだね」

お酒は飲める、と履歴書を確認して。

「今日から入れる?ちょうど休みの子が出ちゃったから助かるんだけど」
「はい、大丈夫です」

ドレスはレンタルがあるから、と言われて無事面接は通ったことを理解した。

「ドレスは好きなの選んで大丈夫だから」
「…どんなのが、男の人に好かれますか?」

店長さんに必要以上に隣に接近した。

「んー…君の今日の服、みたいな感じかな。見た目が清楚風なのに、…露出が高い服装って結構人気だよ」
「この服、店長さん好んでいただけるんですね…よかった」

好きな人に、褒めてもらえた時のように声のトーンを少しだけあげて。

「“よかった”?」
「あっ、いや…っ、その……店長さん、すごくカッコ良いから…素直に、嬉しかったといいますか」

慌てて両手を振って顔を赤くし顔を隠す。

「…すみません、……変なこと言って」
「いやいや、驚いたけど…僕もそう言われるのは嬉しいよ」

自分で選ぶのは苦手だと言って、ドレスを店長に選んでもらう。
…着替えると言ったのに部屋から出ないのは何の意図か、なんて考えなくてもわかる。

「名前、どうするか決めた?」
「まだ全然」

カーテンで仕切るだけの試着室。

「…良い体してるね」

カーテンを開かれて、ドレスを落とした。
叫ぶな、気持ち悪いと思うな。
…零以外に、見られたくないなんて、今は考えるな。

「あぁ、大丈夫。これも面接の一つだから気にしないで」
「そうなんですか…」

ホッとしたような表情を作り、店長を見上げる。


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