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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第20章 厄介な人



胸元が強調され、背中がぱっくり開いているニットワンピース。
…私服にこんなの着たことないな、と。

「着替え終わったのでカーテン開けますよ」
「はい」

カーテンを開けて風見さんと目が合う。
御愁傷様ですとでも言うような視線を向けるのはやめてほしい。

「変じゃないですか」
「大丈夫だと思いますよ」

車動かします、と言って銀座方面に車を走らせる。

「髪型とか…どうなんですか?」
「そういうアドバイスは専門外です」

即答で拒絶された。
…なんてやつだ、と思いながらため息をついて。

「…とりあえず面接受からないと話にならないわけですよね」
「ええ。落ちたら笑って差し上げます」
「やめてください、笑えません」

元々はボーイとして潜入することを考えていた案件だと風見さんは言う。そこに、私が現れて。
ちょうど良かったのだと。

「…ボーイの面接はああいうところですと難しい部分がありましてね、その分女性は面接さえ受かれば入れます」
「…へぇ」
「源氏名も考えないといけないですけどね。適当で良いと思いますけど」
「それなら………レイ、とか」
「貴方の脳内にその人以外に誰がいるのか疑わしい部分がありますが」

何かあると面倒なので公安とは関係ない名前にしてください、と風見さんにため息混じりにいわれた。
髪型を整えて化粧をしっかりとするば、馬子にも衣装だと皮肉を言われて運転席の椅子を後ろから叩いた。

“馬子にも衣装”

…確か、誰かに昔言われた。
ふと懐かしい気持ちになって首を振る。
気持ちを入れ替えないと。
後部座席には他にも鞄と財布と、知らない名前に私の顔写真が入っている身分証明書。

「では、この先はお一人で。盗聴器は付けてますね?」
「あぁ、はい。取り付ける場所なかったのでとりあえずブラにくっつけてます」
「……気をつけてください、何かあればすぐ連絡を」
「はい、ありがとうございます」

○苗字○○○じゃない身分証には、年齢も嘘だらけで。

安室透を名乗ることになった零の気持ちに…ほんの少しでも近づけただろうか。



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