【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第20章 厄介な人
探偵事務所に着けば、階段下がいた。
「…野良猫?」
三毛猫のように見える。
…確か三毛猫のメスだかオスだかが、高額だとか聞いたことがあるなぁ、と横目に過ぎようとすると足元に擦り寄られた。
………可愛い。
「きみ、名前はなんて言うの」
抱き上げて目を合わせるように顔を近づけて…
「あれ、やっぱり。おはようございます」
ポアロの扉が開いて透さんが近づいてくる。
「中から○○の姿が見えた気がしたので」
「…透さん、おはよう…この子、擦り寄ってきたから可愛くて」
「最近餌ねだりに来るようになったんですよ」
私に抱かれる猫を透さんが撫でるのを見上げれば、透さんの手が少し止まって。
「………可愛いですね」
「うん、可愛い」
「いえ、貴方が」
何を言ってるんだ、と…顔が赤くなっていく。
にゃぁ、と抱いている腕から飛び出した猫が離れていく。
「今度写真撮りますか」
「え?」
「…今の、すごく良かったです」
「透さんのバカ」
知りません、と階段を登ろうとした手を掴まれて。
「…ここが終わったら、風見に連絡しろ。夕方には近くに待機してる予定だから」
「透さん、心配ありがとう。…行ってきます」
掴んだ手に唇を当てて笑う。
「…はい、行ってらっしゃい」
私は貴方のためになら、なんだってできる。
だから…貴方を裏切ることが貴方を守ることなら、それすらも躊躇なくできるんじゃないかなと…そんなことを、思った。
「おはようございます」
私の日常が、大きく変わっていく1日目。
「おー、おはよ」
探偵事務所の仕事合間に風見さんとメールでやり取りをした。
「先輩、最近変わったことあります?」
「いや、特には」
「奥さんと仲直りとか」
「知らん」
相変わらずな先輩と探偵事務所。
そんなところに気分が安らぐ。
「先輩、私、出勤減らしたいなぁと思うんですけど」
「ん?何かあるのか?」
元々はフラフラしてた私を見かねて雇ってくれてるわけで。
「いくつか欲しい資格があって、その勉強を」
「良いことじゃねぇか」
「先日ホームページ作った時に、楽しいなぁと思ったんですよね」
「○○が安室くんと付き合ってると聞いて驚いたが…良い方向に変わってるみたいで良かった良かった」
「ご心配おかけしてます」
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