【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第17章 これから※微裏
風見裕也。
零の部下で公安の人。
ゼロである零と直接関わることができる極僅かな人。
「零、…お茶くらい」
「出さなくて良い」
「…お気になさらず」
お茶くらいだそうと言えば零が強い力で抱きしめて来る。
「○○に昨日全て話した」
「待ってください、全てって…!?」
「潜入捜査している理由の全てだ」
ああ、この人は…零のことが好きなんだってわかる。
好きとか嫌いではない…絶対的信頼、のようなもの。
「…降谷さん、まさか本当に」
「その“まさか”だが」
「私は反対です」
「もう決まったことだ」
私の警察手帳を風見さんに見せて。
「“協力者”で“部下”で恋人。何か問題が?」
「問題だらけです。それにその方は警察を辞められたんですよね、ご自身の意志で」
それを男を理由に復帰するなど、と風見さんの言うことは本当にその通りだし、私自身零に言われるまで復帰することは考えてもいなかった。
「辞めたことは無かったことになっている。もちろん、裏から見ればだけどな」
「そこまで固執する理由は」
「真実を全部教えた。それだけでここにいる理由になる」
…空気が、重かった。
零の…正しくは透さんの携帯が鳴る。
「零、出て?」
「……わかった」
梓さん?と少し声のトーンが上がって、零が寝室の戸を閉めて電話をしている。話し声が聞こえながら…重たい空気が、ここに残る。
目の前の人…風見さん。
「降谷さんの恋人なら、…彼の邪魔にならない方法が最善だと思わなかったんですか」
「……風見さんの言う通りだと思います」
私だって考えた。たくさん考えたんだ。
…零に抱かれる腕の中で。この選択肢が本当に良いことなのか。
「一度辞めた人間が戻って来て良い場所ではありません」
公安として、この国のために働く貴方にとって…貴方達にとって…
「風見さんがご納得いただけないというのであれば…チャンスをいただけませんか」
「私にはその権限はありませんよ」
寝室の戸が開いて
「…上からも言われてる。見定める、とな」
「零…」
「風見がその担当になるか」
零が、私を抱きしめて…
「○○なら絶対できる」
零の言葉は、魔法の呪文。
「…わかりました、降谷さんが間違っていることを証明します」
その人は、それを言い立ち上がり…
失礼しました、と家を出て行った。
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