【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第16章 もう一度最初から※裏
「…これだけだよ」
この日は、と心の中で付け加えて。
「嘘だな」
「…いやいや、信じましょうよ」
「とことん調べてもいいけど」
「絶対だめ」
零のことで沖矢さんに迷惑をかけられないし巻き込みたくない。
「…先に言っておきますが、連絡とれない零も悪いんだからね」
零はもう帰ってこないと思った、と付け加えたうえで。
零と連絡がとれないことで落ち込んで泣いていた私の愚痴に巻き込んで、お酒の勢いで押し倒したのは私からだと。
「…でも、ほんと、キスはしてないし、どちらも…その、イってない」
そういう問題じゃない、のはよくわかってる。
零が同じ事をしたら…そんなこと耐え切れない。
でも、本当にあの時は
「零が戻ってこないって…思ってた」
長い長い沈黙。
零の表情は読み取れなくて。
「…今日は帰るよ」
向けられたのは笑顔だった。
拒絶。
「零、やだ…」
「今の○○に、優しくできない」
「しなくていい!!」
しなくていいから、としがみついて。
「…今日だけは、そばにいてほしい」
嘘。
今日だけじゃない。
明日も明後日もこれからずっと。
「零にはそばにいてほしい」
沖矢さんと重ったあの夜、私が欲しいのも感じることができるもの、零だけなんだって思い知った。
仲直りのおまじないとつけられた痕は、本当に零と仲直りするきっかけをくれた。
だから…
「話ができる状態じゃない、…明日また必ず来るから」
嫌だ嫌だ、と駄々をこねる子供の状態で。
「…っ、…じゃあ、なんで」
だめだって。
言ったらだめなのに。
「なんであの時零は女の人とベルツリー急行にいたのっ」
“関わるな”それがすべてで。
零は、あの女性といたことを知られたくないはずで。
「見たのか」
「見た…、考えないようにした、零の声聞いたら気にならなくなるってわかってた…仕事だって、言ってくれたら…全部信じた」
でもあなたは連絡がつかなくて。
「怖くて、零に会えない日常が、また戻るんだって…」
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