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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第16章 もう一度最初から※裏


首元から顔をあげた零の熱がこもった瞳をみて流される、そう思った。
唇が重なって背中に手を回したときに、零がその動きを止める。

「…零?」
「……ちゃんと話そう」

痛いほど強い力で抱きしめられて…頷いた。
車をしばらく走らせて、零の横顔をただ見つめていた。

「なにかついてますか?」
「…ううん、好きだなぁって」

零が近くにいて、零の車で零の運転。
…なぜだかすごく安心し。

「寝てていいですよ、着いたら起こしますから」
「……透さん…」

零の運転の邪魔にならないよう、シャツの裾を握って自然と瞼が重くなり意識を手放した。


仕事の電話だろうか、いつもとは違う零の話し声に目が覚める。

「ええ…事件は解決しましたよ…毛利名探偵のお陰でね…」

零、じゃないその口調。
耳元からわずかに漏れる声は女性のものだということがわかる。

「いや、俄然、興味が湧いてきましたよ…眠りの小五郎という探偵にね」

“バーボン”
その口調が電話越しに聞いたそれに似ていた。
電話を切った零が、私の頭を軽く撫でてくる。

「起きました?」
「…零……帰ったら…一緒にお風呂はいろ」
「…どうしたんですか」

話したいこともあった。確かめたいこともあった。
でも今はただ、…

「零に触れたいなって…」
「…話したら、な」

だからさっきも我慢したんだ、と小さく言った声が耳心地よくて。
まだ覚醒していない脳内で、求めるものは零だけだった。



体が揺れる。足が宙に浮いている感覚に、目が覚める。
零が合鍵で部屋に入ったところで、器用に扉をあけて。

「…また寝てたみたいだな」
「ん、起きた…」

零の首に抱き着いて、安心する。

「今日は、やめとくか?」
「…明日も零は、そばにいてくれるの?」

事件もあって疲れたのは零のほうなのに。

「そういえば、今日久しぶりに零の性格悪いサーブ見た」
「○○なら打ち返すって思ってた」
「…だってあれ、賭け試合でよくやってきたもん」

賭け試合。
そんな大きなものじゃなくて、ダブルスを組んで負けたほうがその日のご飯をおごるとか、そういう遊び。
キスしたい、と言えば唇をやさしく重ねてくる零。
ベッドに寝かせて、零の指が首筋の痕を何度もなぞる。

「零、くすぐったい…」
「……本当に、これだけなんだよな?」

零の瞳には、不安と嫉妬と…



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