第3章 Loving you is Killing me. 前編
俺がフライパンを煽ってるのを、じっと見てくるバニー。
「テレビでも観て、座ってれば?すぐ、出来るからさー」
なんて言っても
「いえ、ここで」
「あっそ」
「はい」
なんとなくいつもの雰囲気とは異なるバニーが気になったものの、
ま、腹が減って気でもたってるんだろ、なんて軽い気持ちだった。
「ほら、向こうで食えよ」
出来たてのチャーハンが乗った皿を差し出すと
「ありがとうございます」
嬉しそうな顔で、ニッコリ笑ってくる。
あーこの笑顔。
最初にバディ組んだ頃は、出なかったんだよなーなんて懐かしくなった。
「どうしたんですか?」
「いや、お前もよく笑うようになったな、なんて」
「そうですか?」
「そうだぞ~!バディ組んだ頃なんて、ほんとお前のしかめっ面の記憶しかないもんな~」
「それはひどいですね」
「いや、お前の事だし」
「ハハッ」
こんな軽口を誰かと交わすのすら久しぶりの気がするな。
「いただきます」
バニーは、そう言うとキレイな所作でチャーハンを口に運んだ。
そもそも、なんでこいつここで、俺の作ったチャーハンなんて食ってんだ?
もっと高級な店で、キレイなおねーちゃんと……
思わず、ジッと見ていると。
「何ですか?さっきから」
「へ?いや、別に。てか、お前こんなとこで、飯なんて食わないでさー……」