第3章 Loving you is Killing me. 前編
「たっだいまー」
俺は2部の控え室のドアを開けた。
「あれ?もう帰ってきたんですか?」
千代紙が鶴を折りながら聞いてきた。
「おー、事件があってな、駆けつけてるよアイツら」
「アイツら?」
「えっと、あの後すぐにライアンも来てさ」
「そうなんですね……」
何故か、シュンとした顔をする千代紙。
「あ!これお土産」
そう言いながら俺はテイクアウトしたカプチーノを、千代紙に渡した。
「わ!ありがとうございます!嬉しい!」
「どーせ休憩なんかしないで折ってたんだろ?」
「ふふ……あれ?先輩も?」
「あー……向こうで飲めなかったからな」
……飲んだ気しねーだけなんだけどナ……
「そうなんですね…………残念、でしたね…………」
「いいよ別に。おしッ!いっぱい折って、また、飛ばしてくれよなー!あッ!」
「ん?何ですか!?」
「会いたかった?重力王子?」
俺が指を指してポーズを決めながら言うと
「……なんで?」
「なんで?って……なんか残念そうな顔してるからサ」
すると何故か千代紙が……
「カプチーノ、かけますよ?」
「へ!?なんで、怒ってんの!?」
「……残念なのは、先輩でしょ?」
千代紙は俺の目を見て聞いてくる。
「はぁ~?なんで俺が?」
「……先輩、自分の気持ちに気付いてないんですか?」
「へ?何のことッ!?」
「知りませんよ……あ、これどうぞ」
今度は呆れた顔で俺に手を差し出してくる。
そして、千代紙が俺の掌に、緑と赤の折り紙を乗せた……
「ねこ……?」
「もうっ!トラですよ」
「あ、そっか!ははッ!あんがとな」
そしてもう1つは……
ウサギだった……