第3章 Loving you is Killing me. 前編
唐突にバニーの背後からライアンがやって来て、ドンっとまた、バニーの肩に手をかけた。
すると、バニーの胸についていた千代紙が、
ハラリと
テーブルの上に落ちた。
そしてその上にライアンが、滴のついたグラスを置いた……
「あっ!何するんですかっ!」
「え?」
「これ、濡れちゃったじゃないですか!」
「なんだよ、紙だろ?これ」
「ただの紙じゃないんです」
「はぁ~?ジュニア君なんでこんな怒ってんの?」
ライアンが大袈裟なジェスチャーをしながら、俺に聞いてくる。
「あーいや……バニーそれ、ただの紙だろ?」
「虎徹さんっ!」
バニーが叫んだとき、PDAが鳴り響いた。
パッと腕を見る……
鳴っていたのは、バニーとライアン……
「おい、行くぞ。ジュニア君」
「虎徹さん、すいません……」
「何、言ってんだよ。早く行け。これ、片付けとくから」
「すいません。また、後で!」
……
俺はまた二人の背中を見送る。
あの横にいたのは、
俺だったのに……
テーブルの上には、3つのグラスと
濡れたウサギの千代紙……
その千代紙をグシャッと握りつぶし俺は自分のコーヒーを飲み干すと、さっさと店を後にした。