第3章 Loving you is Killing me. 前編
「なッ……」
思わず声が漏れた。
「先輩、少し休憩してきて下さい。私も、あと少ししたら休憩取りますから、ね」
グイッ、グイッと千代紙に部屋から押し出されてしまった……
あいつこんな時の力は、やっぱ男だな……
バタンと閉まったドアの前で、俺は頭を掻きながら声をかけた。
「あーなんだ、バニー……その、コーヒーでも飲みに行くか?」
「はい!」
「あ、お前それ取れよ」
俺はバニーの胸にはりついたままの、ウサギの顔の千代紙を指差した。
「え?」
バニーはチラッと胸元に目線をやると
「いいですよ、このままで。虎徹さんが僕のために折ってくれたんですよね?」
「バ、バカッ!んなワケねーだろ」
「ま、いいじゃないですか。お礼にコーヒーご馳走しますから」
「あっそ」
二人で近くのカフェに入った。
バニーは俺が何を飲むのかとも聞かずに、オーダーしに行く。
ずっと一緒にいたから、お互いの好みもわかっている。
バニーの背中を見ていた。
今まで通り気のおけない会話に、何気ない日常。
何も違ったものなんてないような気がした。
「はい虎徹さん、どうぞ。ミルク入れてありますからね」
「おぅ、あんがとな」
「いえ、それよりも……」
バニーが何かを言いかけたとき
「お!ジュニア君!こんなとこにいたっ!」