第3章 Loving you is Killing me. 前編
翌日、俺は2部の控え室で千代紙と一緒に折紙を折っていた。
千代紙トルネードが使う折り鶴は、いつも、自分で折っている。
まぁ、最近世話になることが多いから、時間のある時はよく一緒に折ってるんだよなァ。
「なァ!これ、どーだ?」
「え?」
「カエル」
俺は千代紙で折ったカエルをテーブルの上で跳ねさせた。
「えーカエル飛ばすんですか?ふふふ」
「やっぱ、ダメ?」
「ダメですよ。羽のある方が、風に乗りやすいんですよね~」
「何それ?試したことあンの?」
「もちろん色々と試しましたよ!それより、先輩、折紙を折るの上手ですね?」
「だろぉ?案外、指が覚えてるもんなんだよなー娘が小さい時にさ、嫁さんと一緒によく折ってやったんだ」
「そーなんですね」
「あぁ……嫁さんさ、入院したりしてたからさ……まだ小さかった娘連れてさ……一緒にできること、ったら……」
「……先輩?」
「へ?あれ?」
俺の目から、何故か涙がポロポロと溢れてくる。
思わず、グシッと腕で涙を拭う。
「悪ィ……なんだろ、俺……ごめ……」
「……謝らないで下さい。大丈夫ですから。ね」
千代紙がイスを近付けて、俺の背中を擦ってくれる。
「もう思い出話しても、泣かなくなってたんだけどなー」
「最近、色々ありましたから……」
「……」
バニーが1部に戻ったこと、バニーに新しいパートナーが出来たこと……
何故かバニーの事が
すぐ頭に浮かんだ……
「はぁ~悪ィ……」
「ふふ、大丈夫ですよ。心もだけど……身体で覚えてる記憶が、出てきたんですね……」