第2章 キスだけじゃ、止められない
その動きには、僕も覚えがあった……
「え……え……」
パッとソコから手を離す!
思わず後ろに仰け反り、その背中をキースさんが支えてくれる。
「千代さんは、男性だよ。イワン君」
「はぁっ!?」
びっくりし過ぎて、キースさんに失礼な言い方をしてしまった!!!
「……」
千代さんは顔を真っ赤にして、瞳に涙を浮かべている。
「あ、あの……ごめ……その……僕、勘違いを……」
いや!ダメだこんな謝罪じゃ!!!
思わずソファに手をついて、謝る!
「知らなかったとはいえ、大変失礼なことをして、申し訳ないっ!すいませんでしたっ!!!」
「い、いえ……あの……私の方こそ…………」
下を向いていた彼女?が上を向いて、そっと微笑んだ時、
ポロっと、涙がひと粒こぼれ落ちた。
「悪ふざけが過ぎましたね……」
「え?」
「いや、それなら私の方こそ、すまなかった……」
何故か、キースさんまで謝ってくる。
もう僕の頭の中は、大混乱を極めている。
「私のせいなんです……」
千代さんが、小さな声で言った……