第2章 キスだけじゃ、止められない
「え?」
何故か思いっきりキースさんに
抱き締められていた!!!
「ずるいですよっ!!!」
千代さんが、大きな声を出した!
「え?えっ!?」
「君も手を握っているじゃないか……」
キースさんが僕の肩に顔を埋めて、何だか、いつもよりも小さな声で言っている……
その姿に僕の胸が何だか、
キュン
って、ほんと昔読んだ日本の少女漫画のような音を立てた。
そうか、本当にするんだな……
なんてバカな事を考えていたら、今度は
ドスんッ!!!
と僕の背中に
千代さんが乗ってきた!!!
「え?え??え????」
もう全く何が起きているのか理解できない。
「折紙さん……こっちを見て……」
千代さんが、僕の顔に両手を添えて、自分の方へ顔を向かせる。
そうなると、背中から覗きこんでいた彼女と、凄く本当に凄く……その……
近い距離で、瞳と瞳が合ったんだ……
少し切れ長の、それでいて可愛いらしい瞳と……
チュッ
「!?」
そう、彼女が突然キスをしてきた!!!
僕はびっくりして顔を避けようとしたのに、彼女の手が……なかなか強い力でガッチリ顔を押さえて、動かせない!!!
「可愛い……」
チュッ、チュッ、チュッ……と、口だけでなく、頬や瞼にもキスをしてくる彼女に
ずっと僕の肩に顔を埋めていたキースさんも、リップ音に気づいたのか
ハッと顔を上げた!
きっと酔っぱらって乱れてしまった千代さんを止めてくれる!
そう思ったのに
「君こそ、狡いんじゃないのか!?」
少し怒ったようなキースさんの声がV.I.P.ルームに響いた!