第2章 キスだけじゃ、止められない
「かんぱーい」
今夜、もう何度目かわからなくなった乾杯をした。
千代さんが、追加で飲み物をオーダーする度に、乾杯をするからだ。
そしてその度に、ニコニコとキースさんも
「イワン君!そして乾杯だ」
なんて、僕にグラスを当ててくる……
な、なんだか今日のキースさん……
いつもより、可愛い……
そう普段の彼は、可愛いなんて言葉よりも、『さわやかな好青年』て言葉がぴったりなのに。
今、目の前にいる彼は、いつもよりも進んだお酒に目元を赤く染めて、何故か僕に……その……
甘えて……
もたれかかって、来るような……
ほんと!?
甘えてるの!?これっ!?
自分の頭の中で考えた事が、ふと正しいのかが疑問になる!!!
だって、その証拠にキースさん……
僕が部屋に戻ってから、ずっと……
僕の膝の上に左手を置いたままなんだ。
最初はあまり気にしないようにしてたけど……
どうしよう……なんか、ドキドキして……緊張して……
もうムリかも……
思わず下を向いたその時、
「大丈夫ですか?」
「え?」
千代さんが、僕の隣に来て、グラスを持っていない左の手を、
ギュッと握ってきた。
「だ、大丈夫っ!で、ござるよっ!!!」
「ふふ、ヒーローになってますよ」
あ、びっくりし過ぎて……
「かたじけない……」
「ふふふ……ほんと、折紙さんって……可愛い……」
握った左手を指を絡めるようにして、繋いでくる千代さん!!!
その瞬間