第2章 キスだけじゃ、止められない
V.I.P.ルームのドアが閉まると、千代がスカイハイに
声をかけた。
「あの……それじゃあ、気持ち……伝わりませんよ?」
「えっ」
「すいません。私……わかるんです。そう言うの……NEXT能力では、ないんですけど……」
「……」
「今日、ジョンが寄って来たのも……そうなんです」
「すまないが、もう少しわかりやすく……説明してもらえるかな?」
「……すいません」
「いや、君が謝るような事では……ない。決してないんだよ」
「ふふ、ありがとうございます。先程の私の姉は、かなり強力なフェロモンを操る能力があるんですけど……
私にはそれほどの能力はなくて、どうも動物に対して自然に出てるみたいなんです」
「ほう。初めて聞いたな、そんな能力もあるんだね」
「はい。姉はかなり珍しい能力のようです。私には、姉ほどの能力はもちろんないんですが……」
じっと、千代の瞳を見て話を聞いているスカイハイに、
千代も瞳を逸らさずに伝えた。
「私には“好き”と言う気持ちを増幅させてしまったり、誰が誰を好きなのかとか、が……」
「わかってしまうんだね」
「はい」
「あ、すまない。君の話の途中で……」
そう。スカイハイは、話の腰を折るような男ではない。決してない。
それをわざわざ折るようなことをした理由は、
ただ一つ……
「折紙さん……ですよね。スカイハイさんの気持ちを逸らせるてるのは……」
そこには思わず、ゴクッと唾を飲むスカイハイがいた。