第2章 キスだけじゃ、止められない
うーん……折り慣れていないからか……なかなかに難しい……
僕が悪戦苦闘していると、千代さんが、そっと手を添えてくれた。
「ここは、キッチリと折り目をつけると形がキレイに仕上がるんですよ」
ニコッと、僕に微笑んでくれると
キースさんが、珍しくボソッと呟きながら、間に入ってきた。
「とても難しい。難しいとても……」
キースさんも、なかなかに苦戦しているようだ……
けど……
さっきからの、この状態……
もしかして、キースさん……
千代さんの事が、気になってるんじゃ……
いくら鈍感な僕だって……
さすがに気付くよね……
さっきから、何度も、僕と千代さんの間に入ってくるんだから……
悪気なんてないのは、よくわかる……
だってキースさんだから。
彼ほどの人格者なんて、いないんじゃないかな。
正義感に溢れ、常に人を公正な目で見ることができる。
彼ほどキングオブヒーローの言葉が似合う人物は、そうはいないだろう。
僕なんて、見切れ職人が関の山……
……
だめだ……
キースさんが、僕達の間に入ってきてから、ずっと……
キースさんの肩が、僕に当たっている……
ドキドキする……こんな気持ち……
どうしよう……
「あのっ!僕、ちょっとトイレに……」
自分の気持ちを持て余してしまい、思わず席を立った。
僕の勢いに圧されたのか、二人は少し目を丸くしてから、
「あぁ」
「はい」
と、微笑みながら返事をしてくれた。