第2章 キスだけじゃ、止められない
そ、そんなに直接、褒められることなんてなかったから、ハッキリ言って恥ずかしい!
「え、えっと、これってどうやって作るの……?」
思わず話を逸らした。
「あ、折ってみますか?たくさんありますよ、千代紙」
「すごくたくさんあるんだね。そして、とてもキレイだ!キレイだ、とても!」
キースさんが興味津々で手にとって見ている。
「イワン君、これなんて君にピッタリな色合いじゃないかい?とても似合っているよ!」
そう言って、青地に市松模様の千代紙を僕に手渡してくれる。
その時、僕とキースさんの指が少し
触れたんだ……
もう、それだけで、僕の心臓はドキドキとしてしまって……
お店の暗い明りの下じゃなかったら、きっとこの想いがバレてしまうんじゃないか、ってくらい……
ん……?でも、ここまで、指が触れ合ったくらいでドキドキしたことあったかな……???
「この色はキースさんに、似合いますよ。どうぞ」
千代さんがキースさんに手渡した紙は、白地に水色から薄紫になるグラデーションの掛かった、細やかな模様が入った千代紙だった。
「すてきな紙だね!ぜひ“折り鶴”の作り方を教えてくれないかい?」
キースさんはそう言うと、僕と千代さんの間に、グイっと入ってきた……
千代さんに、近付きたいのかな……
そんな事をふと考えてしまう僕のことなんて、全く気にならないのだろう。
「はい、一緒に折ってみましょう」
ほがらかな千代さんの声が、広いV.I.P.ルームに響いた。