第2章 キスだけじゃ、止められない
僕達は急いで店に戻ると、何故か誰もいない。
「あれ?キースさん、皆さんは?」
「皆、何だか急に用を思い出したと言って、帰ってしまってね。私、一人になってどうしようかと思っていたんだ」
「す、すいません!虎徹さんに、車のキーを届けに行って……」
あんな現場に遭遇したとは言えず、下を向いてしまった。
「そうかい。でも、よかった。実によかった」
「え?」
「君がまだ帰っていなくて。私はまだ君にちゃんと……その……お祝いを言えてなかったからね」
「そ、そんな……」
その言葉が嬉しくて顔を上げたのにまた、モジモジとして下を向いてしまう。
「君も良かったら、今日、ジョンが迷惑をかけたお詫びに一緒にどうだい?」
あ、彼女も誘ってる。そうだよね。
でも流石、誘い方までスマートだな……
「迷惑だなんて……そんな……でも、姉も帰ってしまったようなので、ご一緒してもいいですか?」
「あぁ!もちろんだよ。今日はイワン君のお祝いだからね」
「あ、そう言えばキースさん、実は彼女……」
僕はキースさんに、彼女が2部リーグのヒーローであることを、こっそりと打ち明けると
彼女も色々と話が聞いてみたいと言うことで、僕達3人は奥のV.I.P.ルームへ移動したんだ。