第2章 キスだけじゃ、止められない
「君……ネクストなの……?」
「はい……」
彼女は小さくそう呟くと、首に車のキーがかかった“折り鶴”は、タイガーさんの車の上まで飛んでいき、車の屋根の上にフワッと舞い降りた。
「強い風が吹かなければ、大丈夫……」
そう言って彼女は、僕の方に振り向いた。
しばらく影から様子を見ていると、バーナビーさんの手を引いたタイガーさんがやって来て、車の上のキーに気付いたようだ。
なんだか、また、言い合っているみたいだけど、その声までは聞こえない。
けど、無事にキーはタイガーさんの手に渡り、二人は車に乗るとあっという間に、去っていった。
僕はもう一度、お礼を言おうと彼女の方に振り向いた。すると彼女は、思いがけないことを言った。
「私……実は……もうすぐ2部リーグのヒーローでデビューするんです……」
「えっ!?」
「千代紙トルネード、と言います……」
千代紙……
って、確か、折り紙の仲間?種類?だったよね……
「私、ずっと折紙サイクロンさんのこと……憧れていたんです……だから、ヒーロー名も、少し似た感じにして……」
突然の告白!?に
「え、えええっ!!!???」
と思わず大きな声が出た!
すると駐車場の入り口から、明るい大きな声が聞こえた。
「イワン君!こんな所にいたのかい?今日の主役がいなくなったら困るじゃないか!とても困る」
キースさんだった。