第2章 キスだけじゃ、止められない
「ばッ……!ちげーよッ!あの時のお前だ……」
「え……?」
「あの時のお前……ほんと、キレイだったから……」
うっわーーーー
どーしよう!なんとなく、そーかなぁー?なんて思っていたけど、やっぱり!!!
いや、それより、ここからそっと立ち去らないと……
すると、僕の手を誰かが
パッ!!!
と、掴んだ。
思わずビクッとして、声が出そうになった。
すると僕の口にそっと指があてられ、その指の持ち主は……
日本人形の彼女だった。
指を『しーーー』と当てて、そこからそっと立ち去るように僕の手を引っ張ってくれる。
少し離れた場所まで行くと、やっと僕は声をかけた。
「かたじけない……」
「いえ……」
「あ、でも……これ……渡しそびれたな……」
手の中にある、タイガーさんの車のキーを彼女に見せる。
すると彼女は、
「ああ……それで追いかけたんですね……」
「うん……まさか二人がその……」
先程の二人を思い出して、恥ずかしくて下を向いた。
「車はどれですか?」
「あ、あのむこうにある……」
「あれですね……」
そう言うと彼女はポケットから、1枚の
“折り鶴”を取り出した。
そして“折り鶴”の首に、車のキーのリングをかけた。
何をするのかと彼女を見つめていると、
彼女の身体が
青白く発光した……