第21章 背徳のシナリオ ~前編~
「いやいや、あのっ!ほんっとーーーに、気にしないで下さいっ!!!年下じゃないですよ!上です上っ!!!」
「いえ、このお肌は30代前半です」
バニーの眼鏡の奥がキラリと光る。
「ほんとにっ!私、こう見えてけっこういってるんです!子供ももうすぐハイスクール卒業する年なんでっ!!!」
「ええっ!?そんな大きなお子さんが!?」
いや、おばちゃんなんだから、それぐらいの子供がいても……ってかさー
「って、おばちゃん、ほんとはいくつなの?」
ボスッ
鈍い音がした。
バニーのやつ、俺の脇腹に一発入れてきやがった……
「…………」
「女性に年を聞いたり、自分と年の変わらない女性をおばちゃん呼ばわりしたりっ!!!貴方にはdelicacyと言う言葉は、ないんですかっ!?」
「だ、大丈夫!?鏑木さんっ!?」
「大丈夫です。この人は、神経と一緒で身体も図太く頑丈に出来ていますんで。本当に失礼なことばかり、申し訳ありませんでした」
俺に聞かれた質問なのに、バニーのヤツが返事してるし……
「ご、ごめんなさい。私が先に訂正しておけば良かったんですよね。でも……
おばちゃんって、仲良く呼んで貰えるのが嬉しかったんです」
なんてニッコリと笑うおばちゃんは……
すごく可愛らしい笑顔で……
でも、やっぱり体型がおばちゃんで……
顔も腕も腹も丸みを帯びてて……
だけど、そう言われればシワもないし、自然な黒髪で……
健康と言うよりも、頑丈そうな身体と
今も、やっぱり元気にケラケラと笑っているその笑顔に
俺は
いつの間にか惹かれていたんだ。