第2章 キスだけじゃ、止められない
気付けば、さっきまでいたタイガーさんとバーナビーさんがいない。
トイレにでも行ったのかな……?
そんなことをボンヤリと考えていたら、人形のような彼女が僕に声をかけてきた。
「先程はお疲れ様でした。大活躍でしたね」
と、ニコッと笑う。
「あ、ありがとうでござ……」
あ、今、ヒーロースーツ着てない!いや、彼女には、もうバレている。
なんだか少し、シドロモドロしてしまう。
すると後ろから声がかかった。
「わりィ、ちょっと俺達、先に帰るわ」
「え?」
振り向くと、タイガーさんとバーナビーさん……
「わりィな……すんません、お先に……」
「すいません。失礼します……」
ブーブー文句を言うファイヤーさんとロックバイソンさんを置いて、さっさと店のドアから出て行く二人。
ふとテーブルを見ると
あ、これ……タイガーさんの車のキーだ!
僕は急いで二人の後を追いかけた。
駐車場に行ったハズ。
きっと車の近くに……
あれ?いない……
ふと、駐車場の横の路地を見ると、
背の高い影が2つ重なっている……
まさか……と、思ってそっと近付いて行くと二人の声が聞こえてきた。
やっぱりタイガーさんとバーナビーさんだ……
「あの顔見ると、思い出しちまってよ……」
「何をですか……?」
会話の間にも何故か、水音?いや、リップ音!?が聞こえる。
「ん……あ……」
どちらの声かわからない、甘い声まで聞こえてきた!
ヤバい!!!こんなの立ち聞きしちゃダメだ!!!
「ん……あの時の、彼女を思い出すんですか?」
少し嫉妬にも似た怒りを含んだような声……