第20章 kiss the glasses 前編
なんだかずっとさんの機嫌が悪い。
もしかして……
「デザート食べれなかったこと……怒ってます?」
ずっとデータとにらめっこしていたさんが、やっとこちらを見た。
「少し……」
まぁ、またすぐに視線を逸らすんですけどね。
「じゃあ他にもあるんですか?」
「……だって、冷たかった。あんなキレイな人で、バーナビーさんのことを慕って来てるのに……」
「それは、彼女が貴女に対してっ……」
「それ、言い訳」
僕の言葉を遮るようにさんが言った。
「え?」
「私を言い訳にしないで下さい」
……………
確かに……僕は彼女を鬱陶しく思っていた。それがあの態度で余計に増幅したのは間違いない。
「すいませんでした」
僕はさんに頭を下げた。
「え!あ、私こそ……ごめんなさい」
どうしてさんが謝るんだ?オリエンタルの人は、ごめんなさいが口ぐせなのかな……
それよりも僕はどうしても気になったことがあったので、聞いてみた。