第20章 kiss the glasses 前編
「たくさん……召し上がるんですね?」
含み笑いをした甲高い声で彼女がさんに声をかけた。
「え?あ、私ですか?はい。食べないと痩せちゃんうんで……」
「え?」
彼女の眉がピクッと動いた。
「食べるのを忘れるときもあるんですが……食べないと、もっと貧相な顔と体になるんです……」
そう言って、ふふっと笑うさんを値踏みをするように彼女が上から下まで……
不躾な視線で見ている。
「ほんと痩せてるのね、それに……その髪型……ここ絡んでるわ……」
「あー……ほんと、鏡見てないから、わかんなかったです」
「えっ?」
「えっ!?」
彼女と同時に、思わず僕の声も漏れた。
「貴女、化粧もしないの!?」
もう彼女の声は呆れている。
「ええ。私が化粧なんかしても変わんないですからね」
「いや、さん……そんな問題じゃ……」
僕が声をかけたからか、その時、初めてさんがこちらを見た。
「問題……アリマス?」
僕はこちらを見たさんの、その透き通った肌を見て思わず聞いた。
「基礎化粧品は?」
「え?そこのドラックストア デ ……」
「凄いな……それで、そんなキレイな肌を保っていられるんですか?」
思わず僕はさんの頬に手を伸ばしていた。
すると
ビクッ!!!と、身体を固まらせてしまった。
「あ!バニー!セクハラっ!!!」
「えっ!?すいません、思わず手が!!!」
…………
「だ!!!ダイジョウブ デス」
真っ赤になって下を向いて、また、さんはモグモグと食べだした。