第20章 kiss the glasses 前編
…………頭が痛い。
「あれ?どったのバニーちゃん?二日酔い?」
「は、はぁ……」
しまったな。昨日のあの安物のワインのせいだ。
口当たりが軽いから、ついつい飲み過ぎてしまったようだ。
……安物はどうして、こう次の日に残るんだ……
「めっずらしいな~」
「そうですね……あの店、僕には合わないみたいですね……」
「ふーん、そっかぁ~。だって、ちゃん」
「そうですね」
……
え?
頭を上げると、目の前にさんがいた。
「え、えっと……あっ!おはようゴザイマス……」
どうして目の前に女性が立っているのに、気付かなかったんだ?僕は……確かに二日酔いだけど……
「おはようございます。貴女は大丈夫なんですか?たくさん、召し上がられていたようですが……」
「ハイ……」
小さな声のさん。サイトーと言う名前は皆、声が小さいのか……?
「あ、タイガーさん。後で、昨日のデータ分析が出るんでラボに来て下さい」
「了解っ!この書類、終わってからでいい?」
「はい!頑張って早く終わらせて下さいねっ!」
「おしっ!ワイルドに仕上げるぞーーー!」
「いや、ダメですよっ!書類は丁寧にっ!!!」
…………
虎徹さんとさんの大きな笑い声が、僕の頭の中で響いている……
…………
僕はペットボトルのミネラルウォーターをゴクゴクッと一気に飲み干した。