第20章 kiss the glasses 前編
「で、なんでまた、この店なんですか?」
「えっ!?だって落ち着くだろ?なぁ?ちゃん」
「え?は、はい!お料理も美味しいですよ」
「サケノ シュルイモ オオイゾ」
そう所謂、ジャパニーズスタイルの大衆居酒屋と言う店に来ている。
「今日はお前がいるから、奥の部屋をキープしてもらったんだぞー!」
「……」
奥の部屋……確かに仕切りらしきものはある。
だけど個室でもなく、周りの声も筒抜けなこの空間。
いくら仕事仲間とはいえ、女性と来るような店だとは思えない。
……
なのにさんは嬉しそうに、次から次に運ばれてる来る料理に箸をつけては、パクパクと口に運んでいる。
「細いのによく食べるんですね?」
「あ、美味しいから……」
そう言って下を向くさん。
「バニー、女の子によく食うとか言うなよー」
女の子……
「貴方がそんな言い方をするから、僕はてっきり子供だと思いこんだんじゃないですか。さんは、『女の人』ですよ」
「あ、私なら大丈夫ですから」
そう言って、またパクパクと食べ出す。
フライ類も気にせずパクつく彼女。
僕の周りの女性達とは、あきらかに違う。
僕の周りに集まってくる大人の女性達は、サラダを主食にしているようだったから……
だけど……もっと気になったことがあった。