第20章 kiss the glasses 前編
その日の事件は案外長引いて……僕と虎徹さんは、迎えに来ていたトランスポーターに乗り込んだ。
「キョウハ、コノママ チョッキ シテ イイソウダ」
「ふー助かったな」
珍しく犯人確保のポイントを稼いだ虎徹さんが、息をついた。
乗り込んだポーターには、斎藤さんの部下のちゃんも一緒にいる。
ちゃんは、乗り込んで来た僕たちにも気付かないのか、夢中でポーターの中を観察してメモを取ったり写真に収めたりしている。
その真剣な瞳を見ていると、朝、小さな子供扱いをしてしまった事に、申し訳なく思い
「あの……ちゃん?」
僕は彼女の後ろからそっと声をかけた。
「へっ!?えっ!?バーナビーさんっ!?あれっ?あ、あっ……お疲れ様でしたっ!!!」
焦ってずれたメガネを、人さし指で直すちゃん。
「さっきは、すいませんでした。話が途中になってしまって……」
「い、いえっ……あ、あの……私、実は……」
「へ……?」
僕は彼女の……さんの年齢を聞いて、開いた口が塞がらなかった……
彼女の年齢は……
虎徹さんに近かったのだ……