第20章 kiss the glasses 前編
「あの……はじめまして。私、今度新しくこのラボに配属された、斉藤です」
「えっ?配属……?」
こんな小さな女の子が?
ん?名前もサイトウ?じゃあやっぱり……
「バニー、サイトウってのは、オリエンタルではポピュラーな名前なんだよ」
「そうなんですか?」
「アァ、コノコハ オレノ、ブカ ダ」
「えっ?部下?子供じゃないんですか?」
「バニー……ちゃんは若く見えるけど……あれ?言っていいの?」
虎徹さんがちゃんの顔を覗いている。
「は、はい……あの……私、、、」
BEEP!BEEP!BEEP!BEEP!
斎藤さんのラボにPDAの大きな音が響き渡った。
そしてすぐにアニエスさんの顔が映し出される。
「ボンジュール!ヒーロー!」
事件が起こった。
「いくぞ!バニーっ!」
「すいません、話はまた後で!!!」
「チョウドイイ、スーツ ヲ チャクヨウ スルトコロモ シッカリトミテオケ」
「はいっ!!!」
そうはっきりと返事をした彼女は、確かに子供じゃない。
メガネの奥がキラリと光って……
まるで職人のような目付きになったのを、僕はチラリと目の端で見ていたんだ。