第20章 kiss the glasses 前編
「ちゃんはね、お前の大ファンなんだってよ。昨日もずーーーーっと、お前の話しばっか、聞きたがってよーーー」
「えっ?昨日?貴女も一緒に行ってたんですか?」
「え?えぇ……」
「虎徹さん、ダメですよ!こんな小さな子、いつもの小汚ない店でしょう?そんなとこに連れて行くなんて!」
「……へ?」
「……エ?」
マヌケな返事をした虎徹さんと、斎藤さんが顔を合わせている。
「で、斎藤さん話って彼女の事ですか?」
「アァ……コノコハナ……」
「斎藤さんのお子さんですか?」
「俺にこんな大きな娘はいないっ!!!」
「……」
「……」
拡声器なしで、大きな声を出した斎藤さんに、今度は僕と虎徹さんが顔を合わせた。
こんな大きな娘?じゃあ、小さい娘はいるのか??そもそも斎藤さんは、結婚してるんだろうか???
僕の頭の中が疑問符だらけになった時、虎徹さんがお腹を抱えて笑い出した。
「バーナビー……コノコハナ…………ダ」
「えっ?」
虎徹さんの笑い声で聞こえないっ!!!
訳がわからず僕がボーゼンと佇んでいると、斎藤さんよりは大きい
だけどやっぱり、少し小さな声がきこえてきたんだ。