第18章 Tintarella di luna 前編
私達に約束など必要なかった。
何故なら、ワイルドタイガーは……
ひどく私に興味を持っているようだったから。
きっと、また今日もやって来る。
私は確信していた。
カラン……
「あっ!ユーリさんっ!昨日はすいませんでしたっ!!!」
「なんだいコテツちゃん、いきなりー」
店主が笑顔で話しかけている。
「いやー昨日は、潰れちゃってー」
頭を掻きながら、当然のように私の前に座るワイルドタイガー。
「気付いたら、部屋のベッドで寝てましたよー」
「貴方の部屋まで運んで貰ったんですか?」
「そーなんっすよー、バニーのヤツ、いつも俺のことベッドに放り投げて帰るんっすよ!ま、おかげで俺も楽しく飲めるんっすけどね」
「…………」
「あぁーーー!昨日は、ほんっとすいません!楽しくなるとついつい、飲み過ぎちゃうんですよ!
おまけにレジェンドの話も途中だし」
いや、それは遠慮したいんですが……
心の中で呟いた。
「また今日も、レジェンドの話!しちゃいますかっ!?」
「…………今日は、潰れないで下さいね」
聞きたくもないが……
そう。私も興味があるのだ。
ワイルドタイガー……
“お前に”……