第18章 Tintarella di luna 前編
…………
今日は何度目だろう……
結局あの後、近くのダイナーに行き二人で食事をした。
しかしあまり食の進まない私に気付いたワイルドタイガーが
「今度はユーリさんの好きな店に行きましょうよ!」
そう、また屈託のない笑顔で言ってくる。
いつ行くなどの約束はしない。
ただ、あの喫茶店で会った後は、ほぼ毎回のように食事に行くようになったのだ。
会話は、終始他愛もない話ばかりだ。
ヒーロー達の失敗談が多かったが……
ワイルドタイガーは、部類のレジェンドファンだ。
よくレジェンドの話もしてきた。
………………
その時の私は、平静を保つ為に軽い相槌しか打たない。聞いているような、いないような……
私がレジェンドに興味がないと思えば、その話しは止めるだろう……そう、思って……
………………
長いな……レジェンドの話しは。
いつになく長い。
いい加減ウンザリして来た頃、ワイルドタイガーの携帯電話が震えた。
「あ、ちょっ、すんません。ん?バニー?ったく、今からレジェンドの話で一番盛り上がるとこなのに……」
……助かった。
そうホッとしたのも束の間
「えっ?今?えええーーーっと……飲んでるけど……んじゃあ、こっち来るか?」
えっ!?