第18章 Tintarella di luna 前編
「どうもっ!ユーリさんっ!飯行きましょう!」
ゴホッ
………………
「あっ!おっちゃん!コーヒーは飲んで行くからねっ!」
「ありがとねーコテツちゃん!」
いつの間にか、何も聞かずに私の前に座っている。
はーーーーっ
私は心のなかで大きな溜め息を吐いた。
……まさか、昨日の今日で会うとは。
いやっ、もしかして……
会いに来たのか……?
この私に……
「ユーリさん……」
小さな声でワイルドタイガーが話しかけてきた。
「……なんですか」
私も小さな声で返事をした。
「昨日は何も壊さなかったんすよ」
………………
当然です。
本当はそう返事を返したかったが……あまりにも、屈託のない笑顔で話しかけてくるワイルドタイガーを見ていると、そんな言葉は出てこなくなり
「そうですか……」
なんだか、余計に愛想のない返事をしてしまった。
しかし、ワイルドタイガーは気にした様子はない。
「いやー俺もね、やる時はやるんっすよ!」
……
少し呆れて二の句が継げなかった……