第18章 Tintarella di luna 前編
「私も同じ人間ですよ」
そう言って紅茶を飲んだ……
…………
どうしたことだろう。
不思議とさっきよりも甘く感じる……
いや、この甘みは……旨み……
まさか、この男といるせいで……?
いや、そんなことは……
もう一口、飲んでみる……
「なんか、今日のコーヒーいつもより旨いなー!おっちゃん豆変えたー?」
「何、言ってんだよ!いつもと同じ豆だよっ!」
「ふーーーん……」
………………
まさかこの男も、私と同じように感じているのか?
また一口、口に含んでみた。
やはり……いつもより、旨味を感じる……
「ユーリーさん!」
「え?」
「あの、こんな機会めったにないんで、よかったらこの後、一緒に飯でも……」
BEEP!BEEP!BEEP!BEEP!
「あっ!やべっ!ちょっと、すんませんっ!」
そう言ってパッと店の外へ行き、アニエス女史と連絡を取っているようだ。